· 

第16回 『びのけん日誌』: 「『心と身体の声を聞く』って、とっても難しい…」05

 

皆さん、こんにちは、そしてこんばんは。CCOまどかです。

 

毎日、元気に走り回っていた私ですが、今年の2月に人生初の突発性難聴を発症。

 

その時のプロセス、気づきを通して学んだことなどを、well-beingの観点も交えながら連載で綴っています。

 

前回の続きからご一読いただければ幸いです。

 

「『心と身体の声を聞く』って、とっても難しい04

 

情熱(パッション)の2元モデル

振り返ってみて、この話をうるちゃんとしていた時に、

 

ポジティブ心理学の「情熱(パッション)の2元モデル」の話になりました。

 

これは、情熱(パッション)の研究をして いるVallerand博士による理論。

 

この理論によるとパッションには以下の2つのタイプがあると言われています。

 

 

 

OP:統制力のない強迫性情熱(obsessive passion: 以下 OP)

 

・自分でやめられない、コントロールが困難

 

・そのことをして得られる結果が欲しい

 

・そのことがないとだめ、取り憑かれてしまっている

 

・「今その活動ができないとき」に痛みが生ずるもの

 

(テレビやネット、ギャンブル依存、ワーカホリック、DVなどもOPが生じていると言われています)

 

 

これらは、ウェルビーイングと、パフォーマンスを減少させてしまいます。

 

 

HP:統制力を備えた調和性情熱 (harmonious passion: 以下 HP)

 

・いつでも辞められる、コントロールが可能なもの

 

・そのこと自体が楽しくて、他の活動との葛藤が少ない

 

・その人の他の人生と調和しているもの

 

・「一生その活動ができなくなる」と分かった時に痛み

 

(集団スポーツ、芸術、対人関係での活動においても HPが生ずると言われています)

 

 

これらはウェルビーイングと、パフォーマンスを増大させてくれます。

 

 

[参考:「情熱に関する心理学研究の概観-Vallerandの情熱研究を中心に」羽鳥・石村(2017)]

 

「かなりざっくりいうと、燃え尽きるまでやってしまうOPと、周りの要素と調和をとるHP

 

OPはウェルビーイングを減少させてしまうけど、HPはウェルビーイングを増加させるんだよね。」

 

 

 

 

うるちゃんから、そう言われてみて初めて知った 「情熱(パッション)の2元モデル」 OPと HP。

 

 

聞き馴染みのない言葉に戸惑いながらも、突発性難聴になるまでの一連のプロセスを振り返って、自分の体験として置き換えてみることにしました。

 

 

 

 

 

当初の目的としては、

 

・コーチとして、コーチングのみならず、時にはカウンセリングもできるようになりたい。

 

・仕事のパフォーマンスを上げ、お客様やビーノメンバーをはじめ、さらに多くの人の役に立てるようになりたい

 

 

そのためにコーチングとカウンセリングのスクールへ通い、学び始めました。

 

ここまで考えると、自分の人生とも調和しているし、そのこと自体が楽しくて、他の活動との葛藤も少ない、まさにHPな状態です。

 

 

 

確かにウェルビーイングも、パフォーマンスも、高い状態にあるはずでしたし、実際に年明けごろまでは、心身ともにとても気分の良い充実した状態が続いていました。

 

 

 

 

ところが…1月末辺りから、こうも思い始めていました。

 

 

 

 

・コーチングも、カウンセリングも、まだまだ学び足りないのでは?

 

・私よりもできる人は沢山いるんだし、あれも、これもできるようにならないと。

 

・やっぱり、ここまでやらないと駄目なんじゃないかな。この程度では、まだまだ思っているほど人の役に立てないのでは・・・?

 

 

 

 

「そのことがないとだめ」では、ないはず…

 

 

けれども、「そのことをして得られる結果」を、いつのまにか貪欲に欲しがるようになっていきました。

 

 

 

 

学ぶことの楽しさや快感。

 

寝る時間も惜しんで活動に没頭。

 

もっと、もっと、もっと・・・

 

 

 

 

まさにコントロール困難! 

 

 

 

 

徐々にですが、「自分でやめられない」OPの状態そのものになっていったのです。

 

 

 

ウェルビーイングも、パフォーマンスも、ダダ下がりに落ちてしまったのは言うまでもありません。。。

 

 

 

そして、気がつくと、右耳がビリビリと鳴り始めてしまったのでした。

 

 

「OPもHPも両方とも『情熱』だから、本人はやりすぎていても気付きにくい。

 

 

まぁ〜大切なのは『バランス』って話なんだよね。」

 

 

 

うるちゃんと振り返りながら、そう話していた時に、はたと気づいたことがありました。

 

 

 

「でもさ、これって今回のまどかの突発性難聴に限らず、誰もが経験することなんじゃないのかな?!」

 

 

 

あぁ…そうか!!

 

 

 

いつのまにか「目的と手段がすり替わってしまう」って言うことかぁ…

 

 

 

(つづく)『びのけん日誌』: 「『心と身体の声を聞く』って、とっても難しい06