皆さま、こんにちは。そしてこんばんは。CCOまどかです。
「地域の社会課題探る」法政大学松本ゼミの学生 西郷でフィールドワーク
2026年8月26日、りゅうちゃん(鈴木 龍京)からシェアしてもらった「福島民報」に掲載された新聞記事を見ながら、私は8月17日から19日までの3日間を思い返していました。
法政大学人間環境学部・松本ゼミ(松本 敦則教授)の学生17名が福島県西郷村などを訪れ、地域の課題や魅力について考えたフィールドワーク。
学生たちは3つのチームに分かれ、地域の事業者や住民の方々から話を聞き、自分たちなりの提案をまとめ、最終日には地域の方々を前にプレゼンテーションを行いました。

実は、私たちB-nO Consulting(以下ビーノと略します)のメンバーも、この3日間に関わっていました。
とはいえ、私たちビーノメンバー全員が学生たちのフィールドワークにずっと同行していたわけではありません。
ちなみに、私自身が直接関わったのは、主に初日のオリエンテーションと最終日のプレゼンテーション。
ありがたいことに、後から、松本先生や、中心になって動いていたりゅうちゃんから直接お話を伺うことができ、この3日間で何が起きていたのかを少しずつ知ることができました。

新聞記事を読み終え、一呼吸。
掲載されたことへの嬉しさとともに、改めてこの3日間を振り返ってみて、私の心の中に残ったのは、
相手の成長を願って、投げかけた問い。
流れを変えた、一つのフィードバック。
表にはなかなか見えない、細やかな調整。
そんな、小さな場面でした。
けれども、その小さな場面の中にこそ、私たちが普段から大切にしている「ビーノらしさ」がキュッと詰まっていたように思います。
今回の『びのけん日誌』では、松本先生やビーノメンバーから伺った話をもとに、私たちが大切にしている「人への関わり方」について、綴っていきたいと思います。
最終日のプレゼンテーション

「新甲子温泉の魅力を伝える」
(取材先:日光国立公園 新甲子温泉 源泉かけ流しの宿 五峰荘)
「黒鶏卵を地域の顔となる特産品へ」
(取材先:水野谷鶏卵店)
「西郷村に若者を呼ぼう」
(取材先:西郷村役場)
プレゼンテーションのフィードバックには、西郷村役場の方々や、宿泊先でありフィールドワークの場の一つでもあった五峰荘の関係者、そしてビーノメンバーも参加することに!
限られた時間の中で行われた、学生とのやり取りを通して、気づいたこと、感じたことなどをまとめてみました。
相手の成長を考えた「問い」の投げ方

学生たちは、実際に温泉の清掃を体験したり、女将さんの話を聞いたりしながら、
・自然の生き物を探すビンゴ
・アニバーサリープラン
・LINEやSNSを使った情報発信
といったアイデアを提案しました。
発表が終わったあと、うるちゃん(漆間 聡子)が学生たちに問いかけます。
「そのサービスを本当に実施するとしたら、どんなことが課題になると思う?」
すると学生たちから、さまざまな答えが出てきました。
・自然の中で実施するなら、熊への対策が必要かもしれない。
・温泉でお酒を楽しんでもらうなら、安全面への配慮も必要になる。
・LINEを使うなら、登録方法や個人情報についても考えなければならない。
うるちゃんは、
「こうしたほうがいい」
と「答え」を渡したわけではありません。
そこにあったのは、問いを受け取った学生たちが、自分たちの提案について、もう一段深く考え始める姿でした。
プロセスから学び続けることができる問い

「既存のお客様はどんな人たちなのか。
なぜ若者やファミリー層をターゲットにしたのか。」
そして、
「その提案にたどり着くまでに、どんな話し合いをしたのか。
他には、どんなアイデアが出ていたのか。」
完成した提案だけではなく、そこへ至るまでの「プロセスの話」まで聞いていきました。
***
後から松本先生が、このやりとりについて、こんなふうに話してくれました。
「最終的に採用されなかった意見も含めて、学生たちが
『自分たちはここまで、やったんだ。考えてきたんだ。』
と、振り返ることができる問いを投げかけてもらえたと思う。
そのプロセスまでを見てもらえることは、学生たちにとって貴重な時間だったのではないか。」
…私は、その話を聞きながら少し胸が熱くなりました。
なぜならば、私自身、普段からうるちゃんに、同じような関わりをしてもらっているからです。
「こうしたほうがいい」
と、相手を評価するわけでもなく、すぐに答えを渡すのでもなく、
「その時、どうしてそう思ったの?」
「どうしたら、もっと良くなると思う?」
うるちゃんは、いつも「プロセスから学び続けることができる問い」を返してくれるので、受け手は「考える余白」を作ることができます。
それは、学生だから特別な関わり方をしたわけではなく、
いつもビーノメンバーの間で行われている、やりとりそのものが、自然に出現していたことに気づかされた瞬間でもありました。
学生のプレゼンテーションに対する姿勢を変えた、一言。

エンディーは、学生たちのプレゼンに対して、
「僕からは、感想です。」
と冒頭に述べ、
・時間の使い方や資料の見やすさ
・何が良かったのか
・どこを変えると、もっと伝わりやすくなるのか
つまり、具体的な内容よりも、
「人前でプレゼンテーションをするとはどういうことか」について、
かなり具体的に言葉を返していました。
***
そんな中、学生のプレゼンテーションに対する姿勢を変えた、とある一言がありました。
「スクリーンばかりを見るのではなく、聞いている人を見て話せると、もっと伝わる。」
“プレゼンテーションは、スライドに向かって話すものではない。目の前にいる人に届けるもの”
それは、社会人にとっては、ごく当たり前なアドバイスに聞こえました。
ところが、そのフィードバックの直後、その場がちょっとだけざわつくのを感じました。
フィードバックの影響

そう思いながら始まった、二つ目のチームの発表。
中盤、前のチームへのフィードバックを意識したことで、学生の一人が途中で言葉に詰まり、フリーズしてしまう場面がありました。
(なるほど、そういう影響が出てしまったのか…)
そして迎えた、エンディーからの、このチームへのフィードバック!!
「最初のチームで『スクリーンじゃなく、聞いている人を見て』と言ったのがプレッシャーになっちゃったかな…」
ちょっと申し訳なさそうに、言い始めたエンディーの姿に、私は驚きを隠せませんでした(笑)
そして、エンディーは、こう続けたのです。
「でも、自分の言葉で一生懸命、説明しようとしている感じがすごく伝わりました。
その姿勢はすごく感動しました。」
その挑戦自体が次の学びにつながっていく

プレゼンテーションを終え、次の現場へ移動する車中には、猛省するエンディーの姿がありました(笑)
相手の成長を願い、より良くなるために伝えたフィードバック。
でも、その言葉が、相手にどう届いたのか。
伝えた側である「自分の関わり方」まで振り返る姿は、とても印象的でした。
私は、
「むしろ1チーム目のあとにエンディーが言ったからこそ、フィールドワーク全体が“学びの場”になったんじゃないかな。
だって明らかに、あの後、残り2チームのプレゼンテーションに対する姿勢が変わったもの。」
と、伝えました。
(もちろん、エンディーの猛省はそこで終わりませんでしたが)
学生に対して、
「まだまだ先は長いんだし、ちょっと優しくフィードバックしてあげよう。」
ではなく、
「その人が、次にどう伸びるか。」
一人の人としてきちんと向き合い、これから役立つものを本気で返す。
だからこそ生まれた緊張感。
・答えを教えるというより、挑戦できるタイミングでヒントを渡す
・その結果、学生がその場で試す
・たとえ失敗しても、その経験が次に残る
うまくできたかどうかより「まず、やってみる。試行錯誤し続けること。」
これは、ビーノでも日頃から大切にしている姿勢です。
そして、その挑戦自体が次の学びへとつながっていきます。
エンディーの学生に対する関わり方を通して、そんなことを、深く、強く、感じました。
3日間を終えた、そのあとで…

この場をつくるまでに、動いていた人

最終日のプレゼンテーションには、西郷村役場の方々や五峰荘の関係者も参加してくださいました。
学生たちにとって、フィールドワークをするだけでなく、実際に取材先の関係者にプレゼンテーションを聞いてもらう機会は、貴重な学びになったのではないかと感じていました。
***
後から松本先生に話を聞くと、そうした地域の方々への声かけや調整も、りゅうちゃんが担っていたことが分かりました。
先生自身、
「自分だけでは、これだけ地域の方々に集まってもらうことは難しかった」
と、振り返っていました。
ところが。
そんなりゅうちゃん本人に、
「今回、準備から関わってみてどうでしたか?」
と聞いてみると、出てくるのはもっと現実的な話ばかりでした。
「人が喜んでくれること」が嬉しい

・学生たちが3つのチームに分かれて動くためのスケジュール。
・バスや車の調整と、それに伴う移動の対応。
・体調を崩した学生への対応。
(なんと、合宿中に誕生日の学生がいて、サプライズのケーキを準備するために動いたこともあったとか!!)
地域とのつながりをつくったことよりも、学生たちから出てくる要望に対応し、
「3日間がちゃんと回ること」
こっちのほうが、本人にとってはずっと現実的な仕事だったのかもしれません。
そして、すべてが終わったあと。
りゅうちゃんから出てきたのは、
「とにかく無事に終わってよかった」という一言。
そして何より、
「学生たちが楽しそうで、嬉しそうだったことが良かった」という話でした。
***
私は、この話を聞きながら思わず、とある出来事を振り返ってしまいました。
それは昨年の10月。
私が福島県と東京の多拠点生活を始めるにあたって、アパートを探していたときのことです。
その日は、1日3件の内見を予定していました。
すべての物件は、20〜30分歩けばたどり着けるくらいの距離だったのですが、わざわざ休みの日にもかかわらず、りゅうちゃんが車を出してくれて、一緒に物件を回ってくれたのです。
しかも、間で時間が空くと、カフェに連れて行ってくれて
「ちゃんと生活のイメージはできそうですか?」
と温かく声をかけてくれました。
普段から大変な仕事を当たり前のようにこなしながら、その上で、相手のことを考えた気持ちの良い対応をしてくれる、りゅうちゃん。
そんな姿を思い出しながら、今回の出来事と重ねてしまったのでした(笑)
学んでいたのは学生だけではなかった!? 学びが行き来していた3日間

今回の3日間は、学生たちだけにとっての挑戦ではなかったということです。
ゼミ生たちが、現地へ出て、自分たちで調査をし、短い時間で提案をまとめ、地域の方々の前で正式にプレゼンテーションをする。
先生自身も、最初はどこまでできるのか分からなかったと話していました。
けれども、実際に3日間を共に過ごし、普段の授業だけでは分からなかった学生の姿を目の当たりにしたことで、先生自身もまた、学生一人ひとりを知っていく時間になったようです。
***
「AIで資料をつくることはできる。
けれど、自分自身の体験や思いがなければ、それはただの資料になってしまう。」
松本先生が普段から学生たちに話しているという、この言葉も、とても印象に残っています。
今回、学生たちは実際に地域を歩き…
・温泉の掃除をした
・地域の商品をいただいた
・地域で働く方たちの想いを直接聞くことができた
だからこそ、「私たちはこう感じた」と、「自分の言葉」で話すことができました。
そして、その言葉や想いを受け取る地域の方がいて、そこへまた問いやフィードバックが返ってくる。
先生が、地域の方が、コンサルタントが、
学生に向かって、一方向に何かを教える場ではなく、
まさに、「様々な人の学びが行き来していた3日間」だったのだと思いました。
ゆっくりと振り返って気づかされた、大切なこと

私たちが大切にしている「人への関わり方」

良かったところも改善点も具体的に伝えながら、自分のフィードバックが相手にどう届いたのかまで振り返った、エンディー。
地域とのつながりをつくりながら、表には見えない細やかな調整まで引き受けていた、りゅうちゃん。
話を聞く。
問いかける。
必要ならフィードバックする。
相手が何を考えているのかを見る。
(あれ? これって、いつも私たちがやっていること?)
振り返ってみると、それは今回のために特別に準備したことでも、新しいものでもなく、
私たち自身が、日頃からお互いにやっていること。
お客様との対話の中で、研修で、ウェルビーイング経営支援の中でやっていること。
(たとえ相手が学生であっても、私たちが大切にしている「人への関わり方」が、いつもどおり、そのまま出ていただけだったんだ…)
3日間を、後から一つひとつ、ゆっくりと思い返していきながら、
「私たちにとっては当たり前かもしれないけれど、それはとても大切なことなんだ。」
と、改めて気づかされ、心がじわっと温かくなるのを感じていました。
「いつもどおり」でいられることの大切さ

会社には、それぞれ理念や価値観、行動目標といったものがあると思います。
でも、それが本当にその組織の中に息づいているものなのかどうかは、言葉だけでは、分かりません。
むしろ、
予定通りにいかないとき。
初めて会う人と関わるとき。
正解が何なのか、分からない場面に立ったとき。
そんな、ふとした瞬間にこそ、
自分たちの間で大切にしている「人への関わり方」が、自然とにじみ出てくるものなのかもしれません。
場所が変わっても。
相手が変わっても。
どんなときでも、外に向けた姿勢と、組織の中での姿勢がつながっていて、
私たちが「いつもどおり」でいられることの大切さ。
後からゆっくり振り返ってみて、私はそのことに気づきました。
そして、「組織らしさ」というものは、案外そんなところに表れるのかもしれません。
8月の西郷村で私が見たのは、そんな「いつもどおり」のB-nOの姿だったように思いました。
※『びのけん日誌』は毎月、第2・第4水曜日に更新します。次回は9/23(水)更新予定です。お楽しみに!
終わりに…

『びのけん日誌』では、これからも「組織が幸せに働くためのウェルビーイング経営のヒント」を探究して、発信していきます。
ぜひ、また訪れていただけたら幸いです。