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多様性は、なぜストレスになるのか? 組織のリアルから考えるウェルビーイング経営

多様性は、なぜストレスになるのか? 組織のリアルから考えるウェルビーイング経営

皆さま、こんにちは。そしてこんばんは。CCOまどかです。

今回の『びのけん日誌』では多様性をテーマに、現場で起きる「しんどさ」や葛藤を通して、「違い」を力に変えていくためのヒントを、ウェルビーイング経営視点で紐解いていきます。

「違い」はストレスにもなるし、可能性にもなる!? 

そんな、もどかしさや迷いの中で、一筋の光が差し込んでいくプロセスを、お楽しみください。

多様性ってしんどい

昨年10月に開催された「第1回 組織のウェルビーイング創造MTG “違いが力になる —— 多様性から考えるウェルビーイング“」と題した勉強会をもとに、「多様性」について、対話を振り返りながら、考えていきたいと思います。

本当は、わかりあいたいのに…

「多様性」という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

LGBTQ、多国籍な職場、世代間ギャップ、働き方の違い…

ここ数年、メディアにも頻繁に取り上げられ、最近では企業研修でも話題になるテーマですが、実際の現場では、

「配慮ばかり増えた」
「何を言ってもハラスメントになりそうで怖い」
「世代間ギャップに戸惑う」

そんな“しんどさ”として語られることも少なくありません。

***

昨年10月、B-nO Consultingで開催したオンラインイベント「組織のウェルビーイング創造MTG」では、“違いが力になる —— 多様性から考えるウェルビーイング“というテーマのもと、多様性をめぐるリアルな対話が行われました。

ただ、今回の対話で印象的だったのは、誰一人として
「多様性って素晴らしいですよね!」
という綺麗な話だけをしていなかったこと。

むしろそこにあったのは、

「正直、しんどい」
「理想はわかる。でも現場では難しい」
「わかりあいたいのに、イライラしてしまう」

そんな、生々しい実感でした。

なぜ、しんどい?

対話の中では、「多様性」という言葉から、さまざまなイメージが挙がりました。

• 世代間ギャップ
• 国籍や文化の違い
• 価値観の違い
• 強みや特性の違い
• 働き方の違い

などなど…具体的なエピソードも数多く語られました。

個人的にも「今ってそんな感じなの…?!」と静かにヒヤッとした話がありました。


“「8時10分前集合」と言われたら、何時に集合しますか?!“


(読者の皆様もちょっと考えてみてください)


・上の世代にとっては「7時50分集合」が当たり前。

・若い世代にとっては、「8時10分より少し前」の意。(例えば8時5分集合、になる)


もはや、どちらが「正しい」・「間違い」ではなく、「そもそも“育ってきた文化”が違う。」と考えた方が、賢明なのかもしれません…

そのほかにも、

「電話は失礼だから、まずメールで許可を取る」

という話も…

正直、私自身も、若い世代のコミュニケーションの取り方の違いに、驚きを隠せませんでした。


こうした違いに対して、

「最近の若い人は…」
「昔の人は…」

と切り分けてしまえば簡単です。

でも実際には、

“自分にとって当たり前だったものが、相手にとっては当たり前ではない”

ということが、至る所で起きている。

「だからこそ、しんどい。」

対話を聞きながら、妙な納得感を覚えてしまいました…

個人の文脈と、ビジネスの文脈

中でも特に盛り上がったのが、「職場でのしんどさ」でした。

「カウンセラーやコーチとして人と関わる時は受容できる。でも、一緒に仕事をするとなるとイライラしてしまう」

「成果や締め切りがあると、“違い”を受け入れる余裕がなくなる」

「仕事をサボっているように見えると、どうしても許せない!」

こうした声が次々に出てきます。

***

特に印象的だったのが、“学びの仲間なら受け入れられるのに、職場だと難しい”という言葉でした。

確かに、自己理解や成長を目的とした場では、「違い」は刺激や学びになります。

でも、仕事になると話は変わります。

そこには、

• 成果
• 生産性
• 納期
• 責任
• 評価

といった、“現実”があるからです。

「幸せが大事」
「多様性が大事」

それは、もう十分にわかっている…でも、仕事にはゴールがある。

会社組織のために、一つの目標に向かって、何かしらの成果を出さなくてはならない。
足並みを揃えなくてはならない。
締め切りに追われるものがある。

そんな時、“違い“ はもはやストレスでしかない。

「やっぱり、個人の文脈と、ビジネスの文脈では違うんだよね。」

この言葉には、多くの現場のリアルが詰まっているように感じました。

違いを力に変えていく突破口

対話の途中で、うるちゃん(漆間 聡子)から提供されたレクチャーパートは、

「なぜ、多様性が必要なのか?」

という、理論的な話題にも触れられました。

同じ問題を違う角度から見る

紹介されたのは、Scott E. Page氏の研究『The Difference』(2007)。

この研究では、

“同質的な高IQ集団よりも、異なるバックグラウンドを持つ中IQ集団の方が、複雑な問題解決で優れた成果を出した”

という結果が示されています。

一見すると意外ですが、理由はシンプル!

似たような価値観や経験を持つ集団は、どうしても「同じ見方」「同じ発想」に偏りやすい。

一方で、異なる背景を持つ人たちが集まると、

• 世界の見え方(視座)
• 意味づけの仕方(解釈)
• 問題の解き方(経験則)
• 将来の見立て(予測モデル)

といったものが、「ズレる」ことによって、「違う角度」から問題を見ることができる。

つまり、多様性の強みとは、「違う答えを持っていること」そのものではなく、

“同じ問題を、違う角度から見られること”にあるのかもしれません。

違いを活かせる環境を、どう整えるか

ただし、ここで大事なのは、

「多様なら何でもいい」という話ではない、ということ。

研究でも、多様性が力を発揮するには条件があるとされています。

例えば、

• 唯一解のない難しい課題であること
• それぞれに最低限の専門性(基礎能力)があること
• 本当に異なる視点が存在していること
• 同調圧力で意見が潰れないこと(心理的安全性)
• 情報共有や意思決定のルールがあること

などです。

つまり、多様性とは、ただ“違う人を集めればいい”という話ではない。

むしろ、「違いを活かせる環境をどう整えるか」

そこまで含めて考える必要があるのだと感じました。

多様性を戦略的に使う

レクチャーパートを受け、再び対話に戻った時、ハッとさせられた言葉がありました。

「多様性を声高に振りかざさない方がいい。多様性暴力になっちゃうから。」

という意見でした。


多様性を認める。

それ自体は、とても大切なことです。

でも、もし「何でも認める」が行き過ぎれば、組織はカオスになります。

多様性は、“きれいごと”だけでは回らない。「正しさ」だけでは扱えないテーマなのだと感じました。

だからこそ、

• どんな多様性を目指すのか
• 何を大切にするのか
• どこに向かうのか

という“共通の軸”が必要になる。

***

実際、外資系企業で働く参加者からは、

「会社の目標や理念を、繰り返し丁寧に共有している」

という話も出ました。

多様性だけを先に進めるのではなく、理念やミッション、価値観を共有しながら、“違い“を丁寧に扱っていく。

多様性を“力”に変えていくための突破口が、徐々に開いていきました。

次の一歩につながるヒント

では、違いを力に変えるために、私たちは何ができるのでしょうか? 対話の中では、いくつかのヒントも出てきました。

“そもそも違う“を前提にしてみる

例えば、「違う前提で話してみる」ということ。

人はつい、「相手も自分と同じように考えている」と思ってしまいます。

だから、通じないとイライラする。

でも、“そもそも違う”を前提にすると、少しだけ見え方が変わるかもしれません。

***

また、「やり方には口を出さない。でも、あり方は大事にする」という話も!

ゴールに向かう方法は人それぞれ。

でも、

• 誠実さ
• 相手への敬意
• チームとして向き合う姿勢

そういった“あり方”は、きちんと共有していく。

この感覚は、多様性を扱う上で、とても大切な視点なのかもしれません。

相手を理解すると、嫌いになれない

対話の最後の方では、こんな言葉が出ました。

「私、“相手を理解すると、嫌いになれない“っていう言葉が大好きなの」

もちろん、誰とでも分かり合えるわけではありません。

実際、今回の対話でも、

「頑張って理解しようとしたけれど、どうしても無理だった」

という苦い体験も語られていました。

しかも、この体験をシェアしてくださった方は、普段からコミュニケーションの学びを真摯に実践している方でした…

(それ故に、その辛さが痛いほど伝わってくるようでした。)

それでも、

たとえ相手そのものに関心が持てなくても、

“相手の関心の持ち方”に目を向けてみる。

すると、

「あ、この感覚、自分の中にあったかも…」

と、ほんの少しだけ心が開く瞬間があるかもしれない。

対話の終盤で生まれた “次の一歩につながるヒント” は、私たちを照らしてくれる一筋の希望の光のように感じられました。

まとめ

振り返れば、前に進める

今回の対話を通して、改めて感じたことがあります。

それは、多様性を扱うことは、簡単ではないということ。

きれいごとだけでは進まないし、理想論だけでは現場は回らない。

だからこそ、悩む。

ぶつかる。

疲弊する。

しんどい…

でも、今回のように、実践の中で感じたことを持ち寄り、

「それ、うちでも起きてる」

「自分だけじゃなかった」
「わかる…」

と振り返ることで、また次の一歩につながっていくのではないでしょうか?!


***

コーチングの師匠が教えてくれた大切な言葉があります。

『振り返れば前に進める。前に進みたければ振り返る』

今回の対話もまた、前へ進むために必要な時間だったのかもしれません。

***

そして、B-nO Consultingの理念である、

『希望と強みが広がる未来を、共に』

この言葉を言い換えてみると、

まさに、“違いを、力に変えていく”ということ(なのかもしれない…)

そんなことを静かに強く感じられた、豊かな時間でもありました。



※『びのけん日誌』は毎月、第2・4水曜日に更新します。次回は5/27(水)更新予定です。お楽しみに!

また、次回の「組織のウェルビーイング創造MTG」は5月27日(水)にオンラインで開催します。詳細はリンク先よりご確認頂ければ幸いです!

小さな一歩

ここまで、お読みいただきありがとうございました。

『びのけん日誌』では、これからも「組織が幸せに働くためのウェルビーイング経営のヒント」を探究していきます。

ぜひ、また訪れていただけたら幸いです。

もしも、中小企業の経営者として、
あるいはウェルビーイング経営や・健康経営推進担当者として、

「違いを力に変えていいきたい」

と思ったら、ご相談ください。

「小さな一歩」から、私たちと一緒に進んでみませんか?!