コンテンツ  

理念が生きている会社とは?正解のない時代に、あらためてMVVが問われる理由

理念が生きている会社とは?正解のない時代に、あらためてMVVが問われる理由

皆さま、こんにちは。そしてこんばんは。CCOまどかです。

AIの進化や働き方、価値観の多様化…

ここ数年の変化のスピードを前に、私たちは毎日どこかで、迷いや不安を感じながら生きています。

もちろん、便利になっていくことへの期待もある。

その一方で、「この先、何を頼りに進めばいいんだろう」と、足元が少し心もとなくなる瞬間もある。

そんな今だからこそ、あらためて考えたかったのが、理念が生きている会社とはどういう会社なのかという問いでした。

AI・VUCA・働き方が大きく変わる中で見えてきた、不確実な時代に必要な“組織の指針”とは? 

ウェルビーイング経営のエッセンスを交えた対話を通して、紐解いていきたいと思います。

なぜ今あらためて、理念やMVVが問われるのか

今回の『びのけん日誌』では、今年1月に開催された「第4回 組織のウェルビーイング創造MTG 『理念が生きている会社(インナーブランディング)』~会社のアイデンティティと、共感と行動がつながるビジョン共有~」と題した勉強会をもとに、

「理念が生きている会社」について、対話を振り返りながら、考えていきたいと思います。

最初に、うるちゃん(漆間聡子)によるレクチャーパートを踏まえながら、今、あらためて理念やMVVが問われている背景について紐解いていきます。

いま、理念やMVVが注目されている理由

理念やパーパス、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)といった言葉は昔からありましたが、最近、あらためて注目されているのには、ちゃんと理由があります。

まずは、大きく三つに分けて、その理由をご紹介します。


①正解が見えにくい時代になっていること。

読者の皆様も日々感じていると思いますが、今の時代、社会の変化は速過ぎて、過去の成功パターンをなぞればうまくいく、という時代ではなくなっていますよね…


VUCAという言葉をご存知でしょうか?!


Volatility(変動性)
  変化の性質、量、スピード、大きさが予測不能である


Uncertainty(不確実性)
  問題や出来事の予測がつかないこと


Complexity(複雑性)
  多数の理解困難な原因が絡み合っていること


Ambiguity(曖昧性)
  出来事の因果関係が不明瞭で前例がないこと


上述した4つの頭文字を合わせてVUCAと呼びますが、このような予測不能な環境下では、これまで通用していたやり方が、ある日突然通用しなくなることも多々あります。

そうなると必要なのは、「何が正解か」を探し続けることよりも、自分たちは何を信じて進むのかという軸です。

(今回の対話の場でも、この話は強く響いていたように思います!)

だからこそ、外側に“唯一の答え”を探しに行くよりも、自分たちなりの「指針」を持っていることが大切になります。



② 現場での判断が増えていること。

変化のスピードが速い今、すべてを上からの指示で決めていたら間に合わない。

上司の承認を待って、ようやく動き出す。その間に、状況が先に変わってしまうこともあるでしょう。

だからこそ、現場の一人ひとりが、その場その場で考え、判断し、動くことが求められる。

そのとき必要になるのが、共通の判断基準です。


以前『びのけん日誌』でスタバやリッツカールトンの事例を取り上げたこともありますが、理念やMVVは、まさにそのためのものでもあります。


迷ったときに立ち返れるもの。

「こっちでいいんだっけ?」と考えるときの、よりどころになるもの。

それがあるかないかで、組織の進み方はかなり変わってくるのだと思います。


③ 人も組織も“意味”を求めていること。

条件がよければそれでいい、機能があればそれでいい、というだけでは人はなかなか動けなくなってきています。

・なぜこの仕事をするのか。

・社会にどう関わりたいのか。

・自分たちは何のために存在するのか。

そうした“意味”への共感が、モチベーションやエンゲージメントの源泉になっている。

これは、働く個人にとっても、仲間を集める組織にとっても、かなり大きな変化です。


今、理念やMVVがあらためて注目されているのは、先の見えにくい時代のなかで、それでも自分たちらしく進むために必要な「指針」を持つことが大切だと考えられているからだと思います。

「理念を持つ」から「理念を使う」へ

とはいえ、理念やMVVがあるだけでうまくいくなら、苦労はしません。


・壁や額縁の中に立派な言葉が掲げられている。

・入社式のときに一度だけ説明される。

・朝礼で唱和はするけれど、正直内容はよくわからない。

・現場の判断とはあまりつながっていない。


そんなふうに、“理念はあるけれど、生きてはいない”といった状態に心当たりのある人も、案外少なくないのではないでしょうか。


今回のレクチャーパートでも印象的だったのは、理念は「持つこと」より「使われ方」が大事だという話でした。

(「理念は、立派な額縁の中に飾っておくものではない」ということですね!)

実際に理念を意思決定に使ってる会社の方が、長期的な生存率や組織自体のパフォーマンスが高い傾向にあるという研究があったりするそうです。


***


たしかに、理念はあるだけでは意味を持ちません。

それが本当に力を持つのは、「迷ったときに立ち返るもの」指針、道標として使われるときです。

たとえば…

・会議の中で、「それって私たちの理念に照らすとどうなんだろう?」と問い直されること。

・採用や評価の場面で、その組織の大切にしている価値観が一本通っていること。

・メンバーが、日常の中で、自分たちの言葉で理念を語れること。

こんな場面でこそ、“理念が生きている”ということにつながるのではないでしょうか。


今回のテーマである「理念が生きている会社」とは理念を、日々の迷いや選択の中でちゃんと使っている会社、自分たちに問い続けることをやめない会社、そんな言い方もできるかもしれません。

時代が変わり、環境が変わり、組織も人も変わっていく中で、それでも「私たちは何を大切にしたいのか」何度でも問い直し、確かめていく。

そのプロセス自体に、理念の意味があるのだと思います。

「俺たちのVUCA」身近なVUCAを話してみたら…

では、あらためて理念が注目されるようになった“正解のない時代”とは、実際にどんな顔をして私たちの目の前に現れているのでしょうか。

そんな問いから始まった今回の対話テーマは、「俺たちのVUCA」!

VUCAという言葉自体は、コロナ以降、少し聞き慣れたものになったように感じます。

(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性…たしかにこうして字面だけ並べてみると、なかなか大変な時代なんだよねってことも分かります)

でも、それが自分たちの日常に引き寄せられたとき、何が見えてくるのか。

そこには、一人ひとりの“生の実感”がありました。

期待と不安が交差する時代

まず真っ先に話題に上がってきたのは、AIの進化の速さについてでした。


・この一年、特にここ半年で、仕事の景色が一気に変わった。

・これまで時間をかけていた資料作成や要約、整理などの作業が、驚くほど短時間でできてしまう。

・便利になった。助かる。もうないと困る(笑)


そんな実感が、率直に語られていましたが、もちろん、話はそれだけでは終わりません。


・便利さを享受しているからこそ、その先のことも気になる。

・どこまでが人間の仕事で、どこから先がAIに置き換わっていくのか

・これから人は、何を担うことになるのか…


それは、期待でもあり、不安でもあり、まさにこの時代ならではの複雑な感情だと感じました。

一方で、

「正解を出すこと自体は、むしろAIのほうが得意なのかもしれない。」

だからこそ人間には、「問いを立てること、文脈を読むこと、その場にぴったり合う形に翻訳することが、より求められていくのではないだろうか」

対話の中ではこんな声もありました。 

料理こそVUCA!?

そんな中で、個人的にも忘れられない名言になったのが、「料理こそVUCA」でした。


(例えばカレーを作ったとして…)

・レシピ通りにやったはずなのに、なんだか違う。

・同じカレーを作ったつもりでも、なんだか毎回ちょっとずつ違う。

でも私たちは、それを「今日の我が家のカレー」として食べている。


案外、不確実さというのは何も特別なものではなくて、日常の中にすでにたくさん潜んでいるのかもしれない…

そう思えたとき、VUCAという言葉の持つ仰々しい響きが、少しだけほどけた気がしました(笑)

***

先が見えないこと、不確かなこと、思い通りにならないこと。

それは怖さや不安の源泉でもあるけれど、同時に、「私たちがいつもなんとか付き合ってきたもの」でもある。

だから、ただ不安になったり恐れるだけで終わらなくてもいい。

VUCAを日常にある身近なものへと落とし込んだことで生まれた、軽やかな空気は、ちょっとだけ重くなっていた対話の場を、フワッと優しく包み込んでくれるようでした。

この時代だからこそ、大切にしたい想い

「俺たちのVUCA」実際に語ってみると、そこには、不安も、戸惑いも、期待も、一体となって混在していることが見えてきました。

「そんな中で、私たちは結局、何を大切にしたいのか。」

それは、今回の対話パートの最後の問い。けれども、何となく全員の意識が自然とそこへ向かっていったようにも感じました。

AI時代だからこそ、“自由と責任はワンセット“

まず強く残ったのは、「自分で自分の正解をつくる」、という感覚です。


誰かが用意した“正解らしいもの”に乗るのではなく、自分で考え、自分で選び、その結果も引き受けていく。

それは、簡単なことではありません。

むしろ不安の多い時代には、誰かが示してくれる答えに乗りたくなる気持ちのほうが自然かもしれません。

それでも、自分の人生や働き方にとっての正解は、結局のところ、自分でつくっていくしかない。

そんな実感のこもった言葉が出てきたことは、とても印象深かったです。

***

そしてその話は、責任というテーマにもつながっていきました。

・AIが答えを出してくれる時代だからこそ、最後に責任を持つのは誰なのか。

・自分で判断し、引き受けるとはどういうことなのか。

“自由と責任はワンセット“

まず、自分自身が責任を負える存在であること。そして、「この人が言うなら納得できる、この人となら進める」と思ってもらえるような人間であること。

そういう意味での信頼や存在感は、これからますます大事になっていくのかもしれません。

もっとお気楽でいいんじゃない?

一方で、今回の対話には、責任や覚悟だけではない、もう少しやわらかな智慧もありました。


それが、「そんなに構えすぎなくてもいい、もっとお気楽でいいんじゃない?」といった不確実性そのものを「特別視」しすぎなくても良いと思える感覚です。

もちろん、不安はある。

でも、不安だから何もできなくなるより、少しやってみる!

全部を賭けなくてもいい。20%くらい、新しいことに使ってみる。

それで、ダメならまた戻ればいい。

そのくらいの楽観性や身軽さが、かえってこの時代を生きる力になるのだという、この話、私はとても好きでした。


まじめに考えることは大事。でも、深刻になりすぎなくてもいい。

問い続けることは大事。でも、固まりすぎずに、まずやってみてもいい!

その絶妙なバランスが、なんだかとても今っぽいし、B-nOらしい気もしました(笑)

一人ひとりが「小さな指針」を持つ

対話の最後の方で見えてきたのは、指針は、外から与えられるものだけではないということでした。


会社の理念やMVVももちろん大事。

けれども、「自由と責任はワンセット」「お気楽に、まずやってみる」然り、一人ひとりが自分なりの「小さな指針」を持つことも必要なのかもしれません。


・自分の強みが何かを知ることで、自分への理解を深めてみる

・自分が大切にしたい価値観を言葉にしてみる

・「今年の一文字」に倣って、自分なりの一文字を考えてみる。


組織の理念と、個人の指針。その両方は、きっとどこかでつながっている。

だからこそ、そうした小さな指針を持つこともまた、この時代を進むうえで私たちの大きな支えになっていく。

今回の対話からは、そんな感覚も伝わってきました。

終わりに

理念は、人と人のあいだで育っていくもの

「理念が生きている会社とは何か」


その時代背景を辿って、振り返ってみると、

不確実な時代をどう生きるのか、
その中で何を信じて進むのか、

そんな“人のあり方・生き方”の話へと、自然と広がっていったように思います。


・不安があるからこそ、慎重になれる。

・楽しさを感じる人がいるからこそ、一歩踏み出す勇気が生まれる。

・進みすぎそうなときにはブレーキがかかり、止まってしまいそうなときには背中を押される。


そうやって人と人とのあいだで、ちょうどいいリズムが生まれていくように、理念もまた、完成された一つの答えではなく、人と人のあいだで使われ、問い直され、育っていくものなのかもしれません。


「私たちは何を信じて進むのか。」


確かな「指針」を持っているとき、不確実で複雑な揺らぎさえ、少し違ったものに見えてくる気がします。

そして、信じられるものがあれば、面白く生き抜ける!

今回の対話は、そんな微かな手応えを、優しく教えてくれていたように思います。



※『びのけん日誌』は毎月、第2・4水曜日に更新します。次回は5/13(水)更新予定です。お楽しみに!

また、次回の「組織のウェルビーイング創造MTG」は5月27日(水)にオンラインで開催します。WEBページの「お知らせ」に詳細をお伝えいたしますので、こちらも楽しみにしていてくださいね!

理念が生きる組織づくり

ここまで、お読みいただきありがとうございました。


『びのけん日誌』では、これからも「組織が幸せに働くためのウェルビーイング経営のヒント」を探究していきます。

ぜひ、また訪れていただけたら幸いです。

***

もしも、中小企業の経営者として、あるいはウェルビーイング経営や・健康経営推進担当者として、

• 会社のアイデンティティや“会社らしさ”を明確にしたい

• 理念・MVVをつくった/つくりたいが、浸透や活用に課題を感じている

• 社員との間で、ちょっとした価値観や方向性のズレを感じることがある

• 採用・評価・日々の行動など、組織の“判断の軸”をそろえていきたい

• 対話を通じて、共感から行動につながる文化づくりを進めたい

• “理念が生きる組織づくり”やウェルビーイング経営に関心があるが何から始めたら良いかわからない

• 対話を通して、みんなが気持ちよく動ける文化を育てていきたい

本気で進めたいと思っているならば、ご相談ください。

***

理念が生きる組織づくりは一朝一夕には進まないもの。

それでも、まずは小さな一歩から一緒に進んでみませんか?!