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先にあるのは“個人の幸福感“ 〜ウェルビーイングと“ティール組織“の深い関係性〜

先にあるのは“個人の幸福感“ 〜ウェルビーイングと“ティール組織“の深い関係性〜

皆さま、こんにちは。そしてこんばんは。CCOまどかです。

2018年に発売されたフレデリック・ラルー(著)『ティール組織』をご存知でしょうか?! 『びのけん日誌』の読者様の中には、既にお読みになられた方もいらっしゃるかもしれません。

前職のケーブルテレビの会社を退職する直前に発売された、この分厚い本を手に「とても読みたいけれど、読める気がしない(苦笑)」と、本と一緒に音声データを購入し、半年かけて読み終えたのを覚えています。

その1年半後の2020年コロナ前、うるちゃん(ビーノ代表取締役社長・漆間聡子)と出会った当初、この本の話題で大盛り上がり!

飲み会のあと、新宿駅地下で1時間ほど立ち話しても話が尽きず「カフェでも入ればよかったね」と笑いあったのは今でも良い思い出です(笑)

今回は、そんな“ティール組織“とウェルビーイングの関係性について、今年の2月に開催したビーノ主催のオンラインイベント「組織のウェルビーイング創造MTG」で行われた対話を振り返りながら、綴って行きたいと思います。

“ティール組織“とは?!

“ティール組織“に対するイメージ

突然ですが、皆さんは“ティール組織“に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?!


「すごく先進的だけど…自分たちにはちょっと遠いもの」

「どこか理想論っぽい」

「うちの組織では、ちょっと無理」


大方そんなイメージを持たれがちなこの概念。


実際、ビーノで開催したオンライン勉強会(組織のウェルビーイング創造MTG)でも、参加者の多くが「なんとなく聞いたことはあるけれど、実態がつかめていない」と感じていました。


それは、もちろん音声データを聞きながら本を読んだことがある私自身も(苦笑)


というわけで、「ティール組織から考えるウェルビーイング経営― ウェルビーイングが、組織の仕組みを機能させる ―」と題した今回の勉強会 では、


「“ティール組織“を目指す!!」

ではなく、

「ウェルビーイングを高めて整った!! その結果として自然と立ち現れる“組織の姿“」

ここにフォーカスをすることにしました。


もちろん“ティール組織“とは何か?! といった根本的な内容にも触れながら、9名の参加者とともに行った対話をベースに書き進めて行きたいと思います。

今なお、確かな形で根付く“ティール組織“

ここで、日本における“ティール組織“に関する状況についても、触れておきたいと思います。

“ティール組織“は、2018年にフレデリック・ラルー氏が著書『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』をまとめて以来、「組織はこう進化できる」という一つの指針になりました。


まさに「理想の組織」として語られ、ブームになった時期もありました。


今年1月には英治出版 から『ティール組織 入門[新訳イラスト版]』が発売。


『ティール組織』発売当初の“爆発的な流行“ではなくなったものの、今だに、より多くの人にとって身近な学びになっていて、“静かに、しかし確かな形で”現場に根付きつつあると感じています。


ちなみに、日本ではIT企業を中心とした、小さな組織やスタートアップ企業から、階層を減らし、裁量を現場へ戻し、メンバーの意思決定を尊重するといった、“ティール組織“的な価値観が芽を出しているように思います。


一方、大企業では、“自社文化に合う部分だけ“を段階的に取り入れようとする動きが増えているようにも感じています。

そもそもティール組織ってどんな組織?

ここからは、うるちゃんによる“ティール組織“に関するレクチャーを元に、「“ティール組織“とは何か?!」について、参加者の感想も交えながら触れていきたいと思います。

“ティール組織“とは、「社長や上司のマイクロマネジメントではなく、共通の目的を軸に、メンバー1人ひとりが意思決定しながら進化し続ける組織」。


それ自体が1つの「生命体」とも例えられています。


その背景には、組織の発達段階を示す5つの組織モデル(カラー)があると言われています。


◆レッド:圧倒的な力の支配する組織
「短期的思考・目の前の利益を得られるか?」
(メタファー:オオカミの群れ)


◆アンバー:軍隊的なヒエラルキー組織
「上意下達・組織拡大・規律を重視した計画的思考」
(メタファー:軍隊)


◆オレンジ:分権・柔軟性を伴う達成型組織
「科学的マネジメント、結果を重視・パフォーマンス向上を目指す」
(メタファー:機械)


◆グリーン:ボトムアップ型の組織
「多様性の尊重・成果よりも人間関係を重視」
(メタファー:家族)


◆ティール:進化する組織
「個々に意思決定権・社員の意思重視・組織の存在目的に合わせて進化し続ける」
(メタファー:生命体)


組織の発達段階を示すレッド、アンバー、オレンジ、グリーン、ティールという5つのカラーをたどる中で、


「日本の組織ってたしかにアンバーやグリーンが多いよね」という共感の声があがったり、


「こういう状態なら、うちの職場がもっと動きやすくなるかも…」といった具体的なイメージが広がっていきました。

生命体のように進化し続ける組織の在り方「3つのブレイクスルー」

① セルフマネジメント(自主経営)

そして、“ティール組織“には、生命体のように進化し続ける組織をつくるための「3つのブレイクスルー」があります。


① セルフマネジメント(自主経営)


“ティール組織“は、上司・部下の階層構造を持たず、メンバーが相互に助言を行いながら、自律的に意思決定を行う仕組みがあります。


例えば、課題に気づいた人が、誰かの指示を待つ・受けるのではなく、適切な人と相談・連携しながら、自ら意思決定して行動へ移していきます。
ここには、「人は本来、創造的で、責任ある存在である」という深い信頼が前提にあります。


***


対照的なのが、これまでの“ピラミッド型組織“が採用していた人間観。

「人は怠ける」

「見張らなければ動かない」

「組織にとってのベストより、自分の利益を優先させる」

「会社の重要問題について正しい判断をする能力がない(それが得意なのはトップや組織の管理職)」


これらを前提とした人間観で仕組みがつくられているので、強力だけど息苦しい…例えるなら、「恐れと不信を育てる強力な機械」そのものです。


***


一方、ティールはその真逆をいきます。

人を「信頼に足る大人」と見なし、「説明責任を果たせる存在」として扱う。

「失敗しても責めないむしろ、それも学習の一部。」

「自分たちの才能とスキルを使って会社と世界に貢献したい」


こういった「同僚同士の信頼をつくりあげる」ことが前提の組織では、自然と温度の違う風が吹き始めます。

② ホールネス(全体性)

“ティール組織“は、“仕事の顔だけを持ち込む場所”ではありません。


弱さ、不安、迷い、直感…そうした“まるごと、ありのままの自分”をさらけ出せる極めて心理的安全性の高い場です。


これまで主流だった達成型組織では、

「仕事のときは“仕事の顔“が当たり前」

「弱みは見せない」

「感情は、できるだけ持ち込まない」

「不安や違和感は個人で処理するもの」


これらは、決して悪いわけではなく、成果を出す上で有効だった時代もありました。


一方、“ティール組織“では、

「不安や迷いを“なかったこと“にしない」

「違和感を感じたとき、声に出せる」

「その人らしい考え方や価値観が尊重される」

「感情や直感も、判断材料として扱われる」

「その結果として、判断の質が上がる」


参加者からは、「弱さを見せ合える場所があったら、どれだけ楽になるだろう…」という声があがり、まさに全体性の大切さが響きあう瞬間がありました。

③ エボリューショナリーパーパス(進化する目的)

ティール組織の目的は、あらかじめ“決め打ち”するものではありません。


組織そのものを“生命体”のようにとらえ、


「いま、組織はどこへ向かおうとしているのか?」


という声を、感知しながら応答し、方向性を調整していきます。


キーワードは、【予測 → 制御】から【感知 → 応答】へ。


目標ありきの管理ではなく、現場の手触りを聞き取り、状況に応じて“目的そのもの”が進化する…まさに「生命体」“生きている組織”の姿そのものです。


「この在り方が実現したら、うちのチームどう変わるんだろう…」


参加者1人ひとりが、それぞれの現場をイメージしていたのでしょうか? この話題になった時、何か空気がすっと変わる瞬間があったように感じました。

対話の中で見えてきたもの〜ウェルビーイングと“ティール組織“の深いつながり〜

うるちゃんによる“ティール組織“に関するレクチャーを一通り受けた後、ぶっちゃけ“ティール組織“像を聞いて、どんなこと感じたか?! 率直な感想などを伺いながら、参加者と共に対話を行いました。

現場に意思決定があると、サービスは変わる~リッツカールトンのエンパワメント~

対話の中で印象的だったのが、ホテルで働いていた方から紹介されたリッツカールトンの事例でした。


リッツカールトンでは、一般社員であっても2000ドルまでの裁量を持ち、その場でお客様のための判断ができる仕組みがあるそうです。


たとえば、お客様に何かトラブルが起きたとき。
普通の組織であれば「上司に確認します」という流れになり、判断が下りるまで時間がかかります。


しかし、現場に裁量があると違います。


その場にいるスタッフが、「このお客様のために何ができるか」を考え、すぐに行動できるのです。


これは単にサービスが速くなるというだけではありません。


働く側にとっても、「信頼されている」という感覚が生まれます。


「自分が何かお客様のためにしたい! そう思ったときに、より良いサービスをすることができる」のだと。


たとえ新人であっても、「このお客様のために何かしたい」という気持ちはベテランと変わりません。


その想いを活かせるかどうかは、組織がどこまで裁量権を与えて意思決定を任せているかにかかっています。


ティール組織で語られる「セルフマネジメント(自主経営)」とは、まさにこのように、現場が自律的に判断できる構造をつくることなのだと感じました。

理念が現場の判断を育てる~スターバックスのエンパワメント~

対話の中で、もう一つ興味深かったのがスターバックスの事例でした。


ある方が、カフェでコーヒーを受け取ったあと、数歩歩いたところで全部こぼしてしまった経験を話してくれました。


別のカフェでは「もう一杯購入してください」と言われたそうですが、スターバックスでは違いました。


スタッフが気持ちよく床を拭き、新しいコーヒーを一杯用意してくれたのです。


それがマニュアルなのか、現場の判断なのか…外から見ただけではわかりません。


けれど、そこにはきっと「その会社らしい何かがあるのではないか?!」そんな問いが投げかけられました。


スターバックスは、「人々の心を豊かで活力あるものにする」というミッションを掲げています。


そして、店舗で働くパートナー一人ひとりが、目の前のお客様のために何ができるかを考え、判断し、行動することを大切にしています。


つまり、単にマニュアルを守るのではなく、理念を自分ごととして考えるプロセスがある。


だからこそ、想定外の出来事が起きたときにも、「このお客様にとって一番良いことは何だろう?」と考え、現場で自然に行動が生まれるのかもしれません。

小さな出来事から組織は進化する~現場の判断が生む学習~

スターバックスの話には、もう一つ面白いエピソードがありました。


マイボトルを持って注文したときのこと。最初は、スタッフが蓋まで閉めて渡してくれたそうです。


ところが別の日に行くと、「蓋はご自身で閉めてください」と言われます。


さらにその後は、「蓋を閉めますが、確認してくださいね」と声をかけられるようになったそうです。


つまり、現場の経験をもとに対応が少しずつ変化しているのです。


おそらく、どこかの店舗でトラブルが起き、それが共有され、よりよい形へと改善されていったのでしょう。


こうした小さな学習の積み重ねによって、組織は少しずつ進化していきます。


ティール組織の考え方でいうと、これは「エボリューショナリーパーパス(進化する目的)」に近い姿なのかもしれません。


あらかじめ決めた正解を守り続けるのではなく、現場の声を感知しながら、組織のあり方そのものが変化していく。

そんな「生き物のような組織」の姿が、身近なエピソードの中に垣間見える気がしました。

ティール組織を支えるもの~ウェルビーイングとの関係

こうして考えてみると、“ティール組織“に限りなく近い姿を実現している企業には、いくつかの共通点があるように感じます。


一つは、現場に裁量があること。


もう一つは、理念や目的が共有されていること。


(裁量権については、「そのためには、お金と勇気、余力と人材がないと難しいよね」といった現場ならではの声も挙がりました。)

そして、そのどちらにも欠かせないのが人を育てる教育の存在だということにも気づかされました。


確かに、理念を理解し自分ごととして考えられるようになる(まさにセルフマネジメントのプロセス)には、実際に経験したこと、そこから学んだこと、更にそのことを振り返って対話を重ねていく…といった丁寧なプロセスが必要だからです。


しかし、私たちは対話を重ねていく中で、さらに大事なことに気づかされたのです!!


それは、教育を受ける側の状態。


もし、日々の仕事に疲れ切っていて余裕がなく、自分自身が満たされていない状態だったら。


理念を深く考えることも、主体的に判断することも、ましてや不安や迷いが生じた相手を尊重することなんて…できる気がしません(苦笑)


だからこそ、“ティール組織“を支える土台には、「1人ひとりのウェルビーイング」があるのではないか。


自分自身が日々ご機嫌で満たされているからこそ、誰かのために考え、自ら判断し、行動することができる。


そう考えると、ウェルビーイングとティール組織は、実はとても深いところでつながっているのだと感じました。

「まずは個人の幸福感が先にある」という原点へ

対話の最後に改めて浮かび上がってきたのは、「まずは個人の幸福感が先にある」という視点の大切さでした。


“ティール組織“という言葉はとっても魅力的ですが、本当に目指したいのは“ティールそのもの”なのでしょうか。


むしろ、ウェルビーイングが高まり、人と人との関係性が整ったとき、結果として自然に現れてくるのが、しなやかに進化する組織の姿なのかもしれません。


制度や仕組みは、人や関係性が整っていなければ機能しません。


しかしウェルビーイングが高い状態では、既存の仕組みでさえ、まるで息を吹き返したように動き出すことがあります。


この日の対話では、そんな気づきを参加者同士で確かめ合えたように思います。


・“ティール組織“をもう少し深く学んでみたい。

・自分たちの組織の心理的安全性や教育を見直してみたい。

・裁量権について改めて調整、意識してみようと思った。

・小さなチームから試してみることはできないだろうか。

・「幸せ」を大切にしようと思いました。


決して簡単ではない話も多々ありましたが、さまざまな可能性が浮かびあがり、場の空気がふっと明るくなるような、そんな瞬間を感じることができました。


「いきなり全部」ではなく、まずは小さな一歩から。


この日の対話は、学びが学びのままで終わるのではなく、誰かの明日の行動にそっと火を灯す時間になったように感じています。


そしてその小さな火が、それぞれの現場で静かに広がっていったとき、ウェルビーイングから始まる組織の進化が、きっと現実になっていくのだと思います。

その第一歩は、私たち一人ひとりの幸福感から始まるのかもしれません。

終わりに

ここまで、お読みいただきありがとうございました。


今回は、ウェルビーイングとティールの深いつながりについて触れていきましたが、『びのけん日誌』では、これからも「組織が幸せに働くためのウェルビーイング経営のヒント」を探究していきます。


ブログを読んでいく中で、

「組織を大きく変える前に、できることは何か」

「今の会社のままで、どこから始められるのか」


そんな問いを持つ読者の皆様が、少しでもヒントとなるものを持ち帰っていただけたら幸いです。


また、もしも中小企業の経営者として、あるいはウェルビーイング経営や・健康経営推進担当者として、


「人を大切にする組織づくりを本気で進めたい」


と思っているならば、“強み”を鍵にした働き方や関わり方は、きっと大きな力になります。


ご関心のある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。



※組織のウェルビーイング創造MTGは3月に開催されるリアル会を経て、次回はオンラインで5月以降を予定しています。

スケジュールが決まりましたら、ウエブサイトの「お知らせ」ページにて告知いたしますので、お楽しみに♬

https://www.b-no.co.jp/contact/